たしかに正しいけど、その通りだけど。

ブログじゃないという体でまとまった文章を置いておきたい場所

無気力に細切れに14

 

 綾乃か誰かの短い悲鳴を背後に聞き、櫻子は生徒会室を飛び出した。その辺を歩く日常の住人はそのただならぬ様子に驚いた様子だったが、当然櫻子の目には入らない。とにかく向日葵の元へ。それで頭はいっぱいだった。

 

 生徒会室では「とりあえず後は頼んだ」と言い残して西垣教諭が櫻子を追い、残された面子は消化しきれない衝撃に支配されていた。

「亡くなったって……死んだってことか?」

 虚空に放たれた京子の呟きで、堰を切ったように綾乃が泣き崩れた。ちなつは状況が理解できないとばかりに小さく首を振る。結衣は硬直し、何やらぶつぶつと呟いていた。りせは辺りをゆっくりと見回しているが、事態を把握しかねているように見える。

 そんな中、千歳だけ毛色の違う、険しい表情をしていた。

――なんやろ、これ、普通やない。

 これは単なるアクシデントではないと千歳は感じていた。もちろん論理的な推察ではない。最近頻繁にそういった感覚に見舞われていたが、向日葵の死という事実を得てそれは徐々に形をなし、千歳に告げた。

 もう非日常に足を踏み入れてしまっているのでは、と。

 千歳は何か自分にできることはないかと考え始めた。踏み入れてしまったことがわかっているのなら、そこから逃れることもまたできるかもしれない。

 しばらくの間、誰もが次の行動を取れない、間延びした時間が流れていた。

 ちなつは震え、結衣はこぶしを握り、京子ですら表情を失っている。この場にいる者の中ではとりわけ綾乃のショックが大きいようだ。当然だ。向日葵とは同じ生徒会メンバーとして、決して短くない時間を一緒に過ごした。綾乃はもちろん、千歳にとってもかわいい後輩だ。その死に対して何も感じないわけではなかったが彼女の勘は「このままでは危険だ」と告げていた。

――綾乃ちゃんは、うちが守らんと……。

 嗚咽を漏らす綾乃の手を握り、千歳は決意した。

 

 


 

 西の方弁が上手く書ける自信がなかったから本当は誰かに添削してもらわねばならなかったのですがね*1……公開する予定がなかったから、その、ね。

 

*1:変だったらこっそり教えてくだちい><


掲載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。