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たしかに正しいけど、その通りだけど。

ブログじゃないという体でまとまった文章を置いておきたい場所

誰が観るかわからないアニメ映画のお手本みたいって

 明けましておめでとうございました。

 新年からいろいろとあったようななかったような感じでしたが、先日の土曜は縁あってアニメ映画を4本観たのでそれぞれについて感想を書くよ。

 観たのは『シンドバッド 空とぶ姫と秘密の島』、『ハル』、『楽園追放』、『ガラスの花と壊れた世界』です。

 もちろんネタバレになるのでそこは当然ながら要注意ですよ。

 

 

●シンドバッド 空とぶ姫と秘密の島

 まずはどうもこうもラピュタすぎてやばい。

 飛行石がめちゃくちゃ飛行石でしたね……私、千夜一夜物語とかよくわからないのですが、原典に飛行石が出るのかな?

 でも一度ラピュタだと思って観てしまうと、シンドバッドの父は船乗りで航海に出たきり帰ってこないし、航路の先の深い霧は竜の巣だし、ロック鳥は悲しいロボットだし、辿り着いた島はラピュタでそこには誰もいないしモノリスはあるしでうーむという感じでした。

 ただ全体としては悪くないです。旅立ちのシーンとか、丁寧に描写されていてなるほどって感じでした。

 シンドバッドの手に船乗りのまじないが施されているのを見た母親が、船乗りであったシンドバッドの父の手にも同じまじないがあったことを思い出して、彼が旅立つことを悟るシーンがとても好かったです。

 ただこれ、三部作だということで、ストーリーとしては船乗りに憧れるシンドバッドが空から降ってきた少女と遭遇し、悪い奴に追われているからと逃亡を助け、そのときのガッツを見初めた貿易船?の船長がシンドバッドを乗組員として迎え入れ、航海中に逃亡していた少女を拾い、彼女を船の客人として彼女の目的地に送り届けようとしたら、彼女は随分前に途絶えたといわれていた魔法族の姫で、種族の故郷といわれていたような島になんとか辿り着くも、そこはもう滅んでいた……なんていう、本当にそれこそ『冒険に出て初めの島に辿り着いたが空振り』ぐらいなところで終わりますから、何も中途半端ですね。

 今週末に2作目が公開*1ってことですが…………監督が3作目を製作することなく亡くなったらしいですので、心配ですわ。

 あと姫のえっちな服は好かった。(実際は観ながらそればっかり言ってた)

 

 

 

●ハル

 これは以前劇場でひとり鑑賞したものの再鑑賞という形となりました。

 結論から言えば、ロボットモノと銘打つ……というか

ロボットと人が心通わす奇跡を描いた、号泣必至の近未来ラブストーリーです。 

 とか公式サイトのイントロダクションに書いてある*2んだからまさにロボットモノと思うわけですが、そう思って観ると怒り狂ってしまうのでダメです。本当に。ヒト×ヒトの普通のラブストーリーであると捉えて、それでもなお描写のバランスに難が残り、最終的に咀嚼嚥下しようと思ったら本編でほとんど明示はされていないような要素を持ち出してきて触媒利用するしかないという、謎リテラシーが求められる作品でした。

 まず作品を俯瞰したときに、肝なのかなあと思われるところは、叙述トリック的展開ですね。作品の終盤まで男(ハル)をロボットだとミスリードさせておいて実は男が人間で、当然人間だと思っていた女(くるみ)がロボットだったというもの(何か特定の呼び方がありそうだ)。

 これはインパクトが強いので、本当は作品のメインテーマと絡ませるとこうかばつぐんって感じです。といいますか、逆に私は単発のアニメ映画なんかでそんな全体のシナリオを決定付けるような構造に気づけば、それが作品のメインテーマを絡めないわけがないと考えてしまいます。でも、さしてそんな風に効果的に用いることができているとは思えなかったんですね……これが。

 仮にメインテーマをロボットと人が心通わせるラブストーリーだとすれば、ロボットを人間だと思いながら観ていたわけですから、その人間的に見える行動に挟まれていたある種不自然な行動が、事情が理解できた後から見れば「ああ、まさにロボなりの愛だわ……」などと得心するものであったりすると好いわけですね。おそらく。

 最初に怒り狂うと言いましたが、何故そんなことになるのかというと、この作品はそんなロボットと人間の繊細な関係性を描くと思わせておいて、ロボットの扱いは完全に物であって、道具であって、結局人間同士のラブストーリーであり、もう一歩踏み込もうと思えばボーイズラブみたいなお話だってことですね。しかもロボットを踏み台とした(繰り返し言い過ぎてる)。

 私はロボット・アンドロイドモノが好きなので、公開前かなり楽しみにしておりました。そしてひとりで劇場へと足を運びました。その結果がこれだったわけで、かなり絶望しました。もうもうもう。

 あとは、謎の貧困層描写ですね。ハルには幼少期に危険で悪い仕事をさせられるなんていうかわいそうな子供設定があるのですが、全体的にはめちゃくちゃユートピアって感じのふわふわした設定です。くるみが営んでいた雑貨屋は古着のボタンなんかを売っていて、どう見ても経済的にどうにかなりそうにないのに、めちゃめちゃ金稼げてる描写もあってなんだかおかしい……。まるで『食堂かたつむり』とか『めがね』みたいだ……と思ったらほら、この作品『すいか』の木皿さんが脚本なのですよ。なるほどって感じですよね(最初観た後にもそう言えばそう思った)。

 そのどこかおかしいところを、おかしくないように理解しようとしたら、このくるみはめっちゃ金持ちなのか、もしくはお金のことなんか気にしなくていい世界なんだろうな。となるわけですね。そしてそのこととハルの幼少期のアングラ世界の描写を合わせたとき見えてくるのが、ディストピア社会ってやつです。さらにロボットの存在……仕事の多くをロボットに任せることで人間は楽をする社会。楽をすることを覚えた人間はロボットができない仕事すらやろうとしなくなる。そんな仕事に従事させられるのはかわいそうな子供……。

 

 ……だらだらと愚痴を書いてもあれなのでまとめると、ロボットモノと見せかけておいて、その実態はロボットを叙述トリックに用いた普通のラブストーリー(全体的に少女漫画風味。さらに男子同士が心通わす描写もおまけに付いているよ!)。でもよくよく見るとディストピアの中の光に照らされた世界を切り取って描写している。

 恐ろしい話だよ!

 

 

 

●楽園追放

 虚淵さんの手腕にシビれまくってます。

 主人公が優秀なのがいいんですよね。これは個人的な嗜好ですが、優秀な主人公がヒロインを諭すシーン。あれが重要なのですよ。鼻に付くような虚淵節なのかもしれませんけど。

 ああやってちゃんと諭すから、楽園から地上に堕ちることを決意するわけです。あれが勘所だと思うのです。そこをちゃんと納得できる形で示しているのが安心できるところですね。

 まああとは特に文句のつけようはないですね。尻がエロいですし。というかほかにもさぁ(自粛)

 

 

 

●ガラスの花と壊れた世界

 まず浮かんだ感想が「ややこしい」でした。

 SFとしてはかなり普通な作品だったと思います。キャラはわりと魅力的に動いていたと思います。やっぱり思い返すとその理解しづらさが先に立つ感じがすごい作品でした。

 設定にまずOSとソフトがあって、それぞれが何でどういう由来でどういう扱いなのか混乱する。さらっとしか触れられない現実の世界の歴史が三世代ぐらいの長さがあるらしくていまいち把握できた気がしない。概念的な表現がいっぱいあって、論理展開が不明瞭(当然読み取り力の不足とも言える)。描写の意味がよくわからない。説明がつかない。……などなど。

 パンフレットの誰かのインタビューには何度も観てほしいなんてことが書いてあったようですが、正直一度である程度わからせてくださいよ。事実ぐらいは。という感じですね。事実がわかった上で、考察を深めるために何度も観るというのはわかる。でも事実を理解するために何度も観るというのは……。

 そんな、よくわからないという感慨に耽るあまり、感動"げ"なところには余り浸ることができず、大変残念な結果となりました。でもね、大きく見て満足感を100点満点でつけるとするならば60点はあったよ。ともすれば70点台後半までは伸びるかもしれない。咀嚼嚥下が上手くいけば、ですね。

 全体的によくわからないことが多かった作品でしたが、スミレが出てきてMotherだってことはわかりました。これは大変有意義な結果となりました(意味不明)

 以上です。

 

 

 

 うーむ。すぐに書き上げることができず、だいぶ指の間からこぼれていった着想があったように思います。

 特にガラ壊なんかは友人と数時間は話したのでもっともっと書いておくべきことがあったはずなんですけれどね……なんででしょうねー。

 

 致命的な思考力の減退。