たしかに正しいけど、その通りだけど。

ブログじゃないという体でまとまった文章を置いておきたい場所

こわいわ

FLOWERSのprintempsに手を出しています。

CLANNADの渚が好きな人は感じ入るものがあるでしょう。

しかし比べ物にならないくらいに濃密で、甘く、そしてこわい。

 

 

明日はガチャで爆死しようと思います。
たのしみですね。

 

この気持ちを一度記しておかなきゃならないと、そういった使命感で中途半端なものを公開してしまうことをお許しください。

続報を待て。

次は百合4部作よ

クロウカシス』やり切りました。

最初普通に自力でやろうとしましたが、まー難しいこと。
館の中を自由に移動できるし、探索できるし、時間経過はあるしでめちゃくちゃでした。

いやしかし、クローズドサークルミステリやりながら、あの短期間であの数のヒロインと濡れ場を設けなきゃいけないっていうんで、主人公やヒロインがめちゃくちゃなことになってしまっていますね。
貴女のことを護りたいんだ!(ドンッ!)からの性交ラッシュでふふふって感じでした。でもなんといいますか、エロゲとして仕上げる以上は、仕方がないことだったのかなあと思いました。(でも詩音だけはダメじゃない?)

はてさて一方で、この作品も本当に私と相性がよい。
村! 猟奇殺人! 近親相姦! みたいな。
改めて、このブランドという救いの光を噛み締めています。私を生かしてくれてありがとう。墓標に刻みたいね。

ただ、この後の作品も知っているからか、ちょっと荒削りなところもあったように思いました。とはいえ、この作品は物語が複雑になり過ぎてて、どの選択をしても整合性のとれた状態を維持し続けるのは難しかったと思いますので仕方がないですね。個人的には普通に許容範囲でした。

致命的に瑕疵だと思うような疑問点が感じられなかったのは本当にすごいことだと思います。
今日、偶々テレビでやっていたタイムスリップするドラマなんて、ちょっと観てしまっただけで共感性羞恥により喚き散らしながら退散したほどの杜撰な展開で――(唐突なディスり)

 

そう言えば、メギドですが、今日になってようやく今のイベントの新オーブすべて作り(プラブナ掘り)切りました。
まあまあ大変でしたが、それほど致命的には大変じゃなかったなというのが正直な印象です。時間がかかるだけで、敵が弱かったのでよかった。
掘り対象が強くてまあまあ確実に落ちるか、今回みたいに弱いけど10回弱で1個落ちるかくらいの確率か、どちらかであれば仕方のないところですね。不可能性がないと判断できます。これが、強くて全然落ちないとかだと、期限のあるイベントであればおしまいですけれどね。

そんな感じ。

 

いつになったら明るく生きられるのかな。

すぐ背後に迫っているんだ

よくよく思い返すと、最近はアニメを観ない代わりに本も読んでいたので感想を書きます。

 

『おるすばん』

面白かったですね。満足度90%でした。
手放しに褒め散らかすに至らなかったのは、終盤がちょっとだけとっ散らかったような気がしたからでした。
でも、本当に本当に面白かったですね。
思わず読んでる途中に「なんだこれ面白すぎかよ」って言ってしまうくらいでした。

主人公周りの叙述トリック的なものも好い塩梅で、完全に明かされるちょっと前に気付くことができましたし、文章も読みやすくて好かったです。

強いて言うのであれば、主人公の精神の健全性に疑問符が付いたところで、あとはパートナーだった向こう側の存在も瓦解していったことで、調査パートの信憑性が揺らいでしまったことが残念でした。

蘇らせようとしてるのでは? という憶測が、本当に正しいことなのかどうか判然としないのは、調査パート好きとしては物足りなさがあります。

それに付随して、理屈が弱いように思えました。
こういう悪いことが起こったのは、こういう理由だ。という納得感が薄い箇所がありました。2回逢うと死ぬとか。何故2度目はダメなのだろうか。別の部位も失われればいいじゃないか。すべてが別でなければならない理由は? なんて。
ちょっと殻ノ少女を思い出してしまいますね。あちらは理屈が通っている復活の儀式でした。

さてさて。あと、前にも言ったことで、これは完全に好みなのですが、モンスターとしての怪異の実在性がちょっと強かった気がします。繭ちゃん物理的に攫ってるやん? って。

当事者からすると攫われているけど、傍から見れば実はひとりでふらふらと出て行っただけ。くらいなニュアンスがちょうど好い性質のようです。
私は怪異に実在してほしくないのでしょうね。(唐突な自己分析)

でもがっつり村モノですし、長野ですし、おすすめです。

 

『お孵り』

題材がかなり好きです。満足度85%です。

ただ、台詞がすべからく西の方訛りで、単純に理解しづらかったのが悔やまれます。
地元の言葉ならもっと引っかかりなくすんなり楽しめたのだと思います。

上述の『おするばん』もそうですが、老人の悪いこと。
こちらはミッドサマーみたいなあれですが。いや、違うか。それはむしろウィッカーマン……。

ともあれ、この作品にもやはり調査パートがあって、無敵のスーパーお姉さんが出てくるので、こちらは安心でした。

ただただ彼女が腹立たしかったですけれどね。

あとはおぞましさがそこそこあって好いですね。
やっぱり禁忌に触れるのは良い。華があります。

本当に、読みづらかったこととキャラクターが腹立たしかったことだけでこんなに満足度下げちゃって……いや、満足度なんてそんな感情に直結するような度合いで濁しているわけだから……しかし……。

 

『僕の妻は感情がない』

やば。

やばすぎる。可愛いねぇ。

刺さり過ぎて妹になった。100点。

 

 

あと『魔眼の匣の殺人』と『裏世界ピクニック』も読んだんだけど、疲れたのでおしまい。

前者は比留子さんかわいかったです。

消耗している

○メギド

最近は引きがよく、多分チケット7枚くらいと石10回分くらいで初めて引いた四角がBプルフラスだったので撤退。揺り戻しが恐ろしいことです。

〆チケは少し悩んでサブナック。無限に確率かばいしてくれよな。

今のイベントはオーブがやばいらしい。
前にあったカラフルなロボットよりやばいかもしれない。
とりあえずまだ交換所を取り切っていないのでスタートラインにも立てていないですが、当然白金はひとつも引けていません。こわいね。

 

○コーヒー

如何ともしがたく、ままならないことからの逃避からか、根暗な趣味ばかりの人間です。
そのうちまた石も買い始めることと思います。

ついに頭がおかしくなってマキネッタ(モカ・エキスプレス)も買ってしまったので、いよいよ器具類を仕舞う場所がなくなってきました。

電動グラインダとかも買いそうになっていますし、なんならネルにも手を出そうとしているかもしれません。

まだかろうじてサイフォンへの興味は出てきていません。
でかすぎてやばすぎるからね。

 

○脚の筋を伸ばしている

横になって片脚ずつ真っ直ぐ上げるやつをしていますが、最近は逆の脚が持ち上がるくらいにはなってきました。
つまりは、脚の裏側を伸ばす程度が脚を前後に割る動きの限界に達したということですね。多分垂直よりちょっと上くらいなイメージでしょうか。体が硬い。

寝る直前にすると、脚が心地好いので死なないから生きているだけなんだよなといったような虚無感を少し軽減してくれておすすめです。

 

○料理

できないですが、たまに思いついたように何かを作ったりしました。

大きい柑橘の白い部分を煮たりなんだりしながら砂糖で塗して干したりしました。

蟻のいない季節でよかったです。

自罰の意義が……わかって……きたにゃ

・近況

最近は頭がおかしくなって死んだふりを続けていますが、抜け出せなくなりました。

 

・メギド139ちゃん

まだ一応ちゃんとやっているのですけど、先日、悪いことがあったあとには佳いこともあるようにちゃんとバランスを取っているのだかなんだか、とにかく単発3回目くらいで早々に炎のセクハラ看護師さんとか引いちゃったりして嬉しかったのですが、あまりに人類悪(死語)なので黙っていられて良かったなと思ったのでした。
でも言っちゃったからもうダメです。
あーあ。

ようやく最近になってMQ進めまして、今は72のためのおかーさんのためのおじさんのためのメガネ猿のためのジャガノのためのHボムPTのレベリングをしています。
リーゼントの人がいないながらも、お掃除アイムさんが出てしまったので、某有能Wikiさんの投稿にあったボイムリーダーまな板交渉人Rシトリーさんにグレモリーさんを添えるだけの事故りやすいPTを組んでみています。
今のところ、平均Lv.60弱という未完成ながらVH6割くらいは倒せている感じでしょうか。3割削り切れない。1割死ぬ。まあまあですね。

あとはバレットもキャラが揃っているのでちゃんと作りたいのですが、なかなか育成が間に合いませんね。
鰤足りないと言っている人はどれだけ効率良く進めていらっしゃるのか。
まあ自分は自己延命的なことをしているのだと言い聞かせて、とりあえずここまで。

 

・犬鳴村

まあ、そういうタイトルなので観ましたね。

結論は……満足度69%といったところでしょうか。

私が村モノのどこを楽しんでいるのかと考えてみると、その設定の趣味の悪さから受ける感慨はもちろんのこと、それが解き明かされていく調査パートが好ましいのだなという結論が得られました。
この作品はそこがちょっと弱く思いました。
幽霊が出てきて昔の資料を観させてくれるんですけど、急にお助けキャラが湧いてきたって感じでした。なんでしょう。何歩か譲って、湧いてきてもいいんですけど、直接的に資料を開示するだけでなく、加えて解説までするとなると……なんでしょう。そう、普通に会話しますしね。
何かを示唆するとか、黙って指をさすだとか、その程度ならよかったのかもしれません。
でもこれはあくまで好みの問題でしょうね。私はある程度超常現象的なことは容認できても、どこかのラインを超えると「トンデモ」に見えてしまって、好ましくないのでしょう。幽霊に触れるとかね。

あと、まあ……避けられないのかもしれませんが、はっきりと見えるモンスターと押し問答みたいなシーンの尺が潤沢で、いいから早く逃げたらいいのにとか思ってしまいました。
登場人物の葛藤に寄り添えなかった私が悪いのだとは思います。残念。

ちなみに小説版も読みました……一言感想を述べるならば、つらい。なんと申しますか、自省を促すような筆致でした。これも下手とかそういうことではないでしょう。好みに合わない、私の理想とするところからは少し離れた文体、というのが正しそうです。
どう表現したものか、プロットとか、映像の場面描写とかに薄皮を纏わせたような……淡々と、起こったこととそのときの人物の感情が簡素に箇条書きかのように書き連ねられている。そんな印象を持ちました。
デッドライン病の私が締め切りぎりぎりに徹夜で頭の中のプロットをとりあえず綴ったときの文章を思い出してキチゲが急上昇しそうになりました……精進します。本当?
まあ、その辺の体系だった知識がなくて具体的にどこがどうだとか全然表現できないんですけれど、なんでしょうね……設定メモの域を脱していないと言いますか。水彩画で言うならば、鉛筆で素描したものに薄く色を乗せていって、段々と色鮮やかに立体感を持たせて……みたいな風にして文章を書いていくとして、時間がないからボールペンで一発描き! みたいな仕上がりになっちゃっているとでも言いましょうか。
メリハリみたいなものが大事なのかな? 行間を湛えてリズムの好い文章が書きたいね。難しいね。

 

・曖昧な所感

考えないようにして逃げていたいけれど、いつまでも逃げていること自体は好ましくないとわかっている。というようなことが多く見つかる。

それを含め、ただ呼吸しているだけでダメージを負うような場面が多いこの頃。

移動経路の特定の箇所を通り過ぎるまで息を止めていなければつらいというような強迫観念的な行為にあふれているけれど、なんとか支障なくいられる今は、まだ病には至っていないはずだと信じている。

 

・イノグレ熱の再燃

殻ノ少女』という作品が、かなり衝撃的でありまして、すっかりInnocent Greyというブランドのファンになってしまったのも一昔。
恥ずかしながら、買っただけで一旦満足して殻ノ少女シリーズ以外の作品を積んでしまっていたのが、ずっとずっとずっと気がかりでした。

先日、画展がありまして、ようやくそれをきっかけに取りかかろうと思い立ち……。
とりあえず、殻ノ少女虚ノ少女カルタグラピアニッシモまできました。和み匣→クロウカシスと続けて、FLOWERSシリーズ4作品もできればなあと思っています。いつまで掛かるんだ?

あと、勢い余って『神曲』の解説本みたいなのまで買ってしまったんですが、負荷が大きすぎる……どうしましょうね。

忘れないうちに何か書き記しておきましょう。

殻ノ少女。やはり素晴らしい……冬子。ゆるして。

虚ノ少女。うーーん、村モノ! 最高! 禁断の交わり! お家芸! 冬子ゆるして……。

カルタグラ。メガネ**。そして凛さん……わりと好き。メガネ以外はみんなちゃんとキャラクターが立っていていいですね。メガネが本当に思ったより最悪で笑ってしまいました。

ピアニッシモ。久遠、苦手ですね……表層だけなら好きなのに。女狐ですわ。あとは主人公のキャラクターもちょっと苦手です。ほかの作品もそうですが、時代設定が感じられる描写がいくつもあるのは好いですね。そっかー製氷機とかねーなるほど氷が貴重だったんだーとか。本当かな? でもそれらしいので○

和み匣を現在プレイ中です。まずはポンジャンを息抜きに。由良さん……重い女。本編がああいう感じだからこう、底抜けに明るいお祭りゲームはいい感じですね! TOFでのリオンの扱いに憤っていた私も成長したものだわ。

まあこちらを優先しているから死んだふり状態から抜け出せないんだよな。
喪は明けたが呪い続けていく。

 

くまみこのはなし18

18.

 

 隣町の病院に負傷したまちを運び込んだ。すぐさま緊急手術となった彼女の処置をまんじりともせずに待つ時間、オレは川の深みに嵌まるように自分の世界に浸り込んでいった。

 ナツの最期の様子や置いてきてしまった山村さんの表情が脳裡に代わる代わる浮かんでは消えを繰り返す。そうして外界の情報を遮断していた。それ以外のことを考えることすら罪のように思えた。そんな最中、にわかに院内が騒がしくなったのを感じた。

 それでも努めて悲しみに暮れていたが、走り去った医療関係者の口からかすかに「熊出村」と聞こえた気がして、意識を浮上させる。辺りを見回すと、たくさんのスタッフが慌ただしく動き回り、事態は緊迫していた。

 何か事故でもあったのだろうか。もしや、洞窟内の惨状がもう明るみに出てしまったのか。

 そんな風に思い至り、この場を離れたい気持ちが湧き起こったが、まちのことを放っておけるはずがない、と腹を括りこの場に待機することに決めた。

 握った拳に汗がにじむ。やや下に目を落としながら辺りで交わされる会話に耳を傾けていると、徐々に信じがたい単語を耳にしていく。

 「地滑り」、「土石流」、「生き埋め」――視界が定まらない。膝の上の手が震えている。

 そんなはずはない。そう思ってはみるものの、次々と漏れ聞こえる情報が信じたくない結論へと収束させていく。

「ははは……」

 思わず、笑いがこぼれた。

 そんなオレを気に留めるような人はいない。感情のコントロールを失い、声を殺して笑った。腹を抱えて笑った。それでも気は収まらず、最後には自分の脚を殴りつけながら泣いていた。

 夜が明け、まちは一命を取り留めた。

 脚を引きずりながら病院のエントランスを抜け、外に出る。

 晴れ上がった空、鋭い朝日が泣き腫らした眼に差し込む。瞳孔が痛む。

 なんとか車に辿り着くと、そこに乗り込んだ。シートを完全に倒して右腕で両目を覆う。全身に重くのしかかる倦怠感を感じたと思ったらまもなく、オレは糸が切れたように意識を失った。

 

   *  *  *

 

 あの夜、前日から降り続いていた雨により緩んだ山肌が崩れ、大規模な地滑りが発生した。

 洞窟のあった部分がえぐり取られるように崩落し、下を流れる谷間の川を埋めた。

 なおも雨は降り続き、しばらくすると堰き止められていた川が一気に土石流となって流れ、川に沿った集落を押し流していった――結局、数か所の地滑りで死者行方不明者含め数十人に及ぶ大惨事となった。

 生き残った村人たちは、ある者は近隣の一時避難所へ、またある者は遠い親戚の家に身を寄せるなどし、散り散りになっていった。一夜にして「熊出村」が名実ともに消滅することとなった。

 あれからオレは大学時代の先輩を頼り、村を離れた。一緒に身を寄せたまちと、あの日、夜勤で難を逃れた幼馴染のひー子がそこに寝ている。

 結局、オレとナツだけで呪わしい宿命を断ち切ることはできなかった。軟着陸させるにはそれはあまりに深く、手に余った。

 このままオレがこの記憶を、その呪縛を墓場まで持って行けば、果たしてそれで済むだろうか。

 これからの人生、まちがどこかであの夜のことを思い出すことがあるかもしれない。

 そんないつ決壊するとも知れぬ澱を宿したままに生き続けていく。それでも、熊出村の顛末を知る者が口を噤み、また、かの一族が途絶えればあるいは解放されることになるだろうか。

 オレは悩んでいる。

 いつか彼女が望むとき、その身に背負った事実に向き合うこと。その選択肢を奪ってしまうのはいけないことではないか。オレが黙してしまえばその事実の多くは追うことができなくなる。

 そう。それこそクマ井に再び近づくなどしない限りは――

 手を尽くし、しかるべきときにまちが彼女自身の手でそれを清算することができるようにしなければならない。

 眠るまちとひー子の顔を見る。寄り添い、生きていくしかない生き残りのオレたち。

 しかるべきときを待とう。

 そのときが来るまでは、ふたりを庇護していかねばならない。自分で引き起こしたことには、きちんと決まりをつけなければならない。

 ナツを想う。巻き込んでしまった山村さんを想う。この想いが揮発してしまうことは恐ろしい。

 そのときまでにオレは遺そう。

 忌まわしい、『熊出村の呪い』を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   最愛の亡きクマと、村に喰い殺された稀人、山村女史に捧ぐ

 

 

 

 

 

おわり

くまみこのはなし17

17.

 

 一定のリズムで打ち鳴らされる柏手。

 その洞窟の形状から、拡声器のように反響が集落の方まで響くようになっているのだろう。

 まちは前に出ると祭壇の前で祝詞を唱えはじめた。

 柏手の調子とそれに合わせた祝詞に従い、熊の毛皮を上半身に被った男たちが舞い踊る。彼らはそのまま練り歩き、怯えた様子の山村を囲んで周回する。

 やがてその輪は小さくなっていき、熊男ふたりで両側から彼女の体を布団に押さえつけた。

「……! っ、んん……ぐ――」

 彼女は少し抵抗を見せるが、痛みからか体を強ばらせると、諦めたように大人しくなった。

 電球の光がちらちらと揺れる。狭い洞窟内に熱気が満ちはじめる。

 姫の体勢が整うと、もう一人の誘導役の熊男に導かれたナツが四足でその周りを何周か練り歩き、ややあって彼女を正面に捉える。生贄の生娘に出会った山神を表現しているのだろう。彼女押さえていた熊男たちがその膝を引き上げると柏手がそこで一度止み、同時に彼女からぐぐもった叫び声が上がった。山村はまだ下着を着けているため秘部が直接晒されてはいない。

 そしてナツが誘導に従い、その差し出された陰部に顔を近づけた。柏手が再開され、そのテンポを上げていく。後ろから補助の熊男がナツの腰に張り型の付いた帯を回し、それを固定した。さらに柏手は速く打たれ、ナツが激しく荒ぶった動作を見せる。山村の体が強ばる。

 そしてナツが十分に荒ぶったことを確認した押さえ役の熊男たちが、山村の下着を乱暴に剥ぎ取った。さすがの彼女もこの段にあっては泣き叫び、体を弓なりに反らせて逃れようとする。

 容赦なくナツが覆い被さっていく。すかさず、男が潤滑油を張り型と山村の晒された局部に塗し、張り型をその場所に誘導する。ナツは一声吼えると、ゆっくりと腰を進めていった。

 その光景に良夫は一度目を逸らしたが、脇に立つフチがそれを許さない。

「ちゃんと見とれ! 初めからやり直すぞ!」

 脅された良夫は渋々顔を向けた。そのときふと彼はまちの様子を伺ったが、まるで人形かのようにぴくりとも動かずその光景を静観している。

 山村は良夫の目など気にする余裕がなく腰をくねらせ抵抗するが、男2人とクマ1匹がかりで押さえ込まれては逃れようがなかった。

 黒い張り型がその割れ目に徐々にめり込んでいく。電球の光が柔らかくその硬く滑らかな張り型の表面を照らしている。

 そしてたっぷりと時間をかけ、それがすべて山村の中に収まった。

 押さえていたふたりがさっとその場を離れ、あとはナツがのしかかるようにしてぐいぐいと腰の物を抽挿していく。山村は唸り声を上げ、死に物狂いで口を塞ぐ布に拘束されている手を掛ける。流し続けた涙が鼻汁に変わり、呼吸が困難なのだろう。酸欠で顔色が悪くなっていく。

 山村が苦しむ中、先程儀式の補助をしていた3人の熊男は、壁際に下がり、それぞれに自身の性器を握ると、激しく刺激していた。その暴力的かつ官能的な光景に我慢ができなくなった、というわけではもちろんないだろう。

 やがてひとり、またひとりと熊男たちは達し、出てきた子種を小皿に受けた。最後のひとりが全員分のそれをひとつのぐい呑みほどの大きさの器に集める。

 集め終わったタイミングでナツは最後の一突きをすると再び咆哮し、しばらく痙攣した。

 そして張り型を抜き去ると、すかさず熊男は山村に腰を高く掲げる体勢を取らせ、もう一人が秘所に漏斗を差し入れた。ようやく蹂躙が止んだときには彼女は意識を失っていた。その口を塞いでいた布も外される。かろうじて息はまだあるらしい。

 漏斗に白濁した液体が注ぎ込まれていく。

 熊男は匙を使って最後の一滴まで流し込むと、さっと漏斗を引き抜き、丸めた綿のようなものを膣内に詰めると、長い棒を使って深々と突き入れた。

 その後回復体位を取られてもなお、山村は意識を失ったままだった。

 一方で、山村から離れた後のナツは腰の物を外されると、まちにより前後左右の足を鉄格子に繋がれていく。これで儀礼の第1部が終わり、第2部の役についていくわけだ――

「まち、今までありがとうね。いろいろなことがあったね」

 ナツはまちに対し感慨深げに話しかける。フチは「ナツ、黙れ」とたしなめたが、ナツは鉄格子に寄りかかって座りながら嘯いた。

「ちょっと話すくらいいいじゃない。これが最後なんだから」

 まちはナツの方を見ようともしない。ナツの独白はぽつりぽつりと続いている。

 やがてナツは、そのやり取りに紛れて後ろ手にはらりと紙を落とした。

 良夫がそれに気付く。そして不自然にならないようにしてそちらに近づいていく。

「ナツ……ありがとうな」

 そして泣きながら項垂れた。フチは何かに気付いた様子はない。

 良夫はさっとその紙を拾い、胡坐を組んだ脚の間に置いた。そこには何か軟膏のようなものがべったりと付着しており、活字が打たれていた。

『この毒をボクの爪に塗って』

 それがなんの毒かまでは書いていない。良夫は一瞬逡巡したが、素手でその軟膏状の毒を掬うと、ナツの両手の爪にまんべんなく塗りたくっていく。

 ふと彼が顔を上げると、その一部始終をまちが見ていた。冷や汗が吹き出たが、まちはなんの行動も起こさない。言われたこと以外何もしないことになっているのだ。

 フチはその間、山村が仕込まれる様を見守っている。ここが肝要なのだろう。

 そんなフチの意識が良夫に戻る前に、彼は山村が凄惨な目に遭うところをしっかりと見る。

 申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら。

 

   *  *  *

 

 儀礼の第2部が始まる。

 まちは再び祭壇前に座ると、祈りを捧げはじめた。

 山村は目覚めないままに祭壇の前に据えられている。

 熊男が薬壺を開け、矢を3本取り上げた。そしてその矢尻を順番にそこに浸していく。

 祈り終えたまちは恭しく差し出されたその矢を受け取った。弓矢を携え、舞い踊りながらナツに近づいていくと、そのまま躊躇なく射かかった。

 毒矢はまっすぐ飛ぶと、違わず標的に命中する。痛々しい悲鳴が洞窟内に響き渡った。続けて2本目、3本目と放たれた弓は、腹部に2本、肩口に1本深々と突き刺さった。

 良夫は泣き腫らした目でそれを凝視している。

 やがて、ナツの動きが衰え、呼吸が浅くなってきた。その様子を確認したのちに、石で出来た台が3人がかりで運ばれてきて、ナツの傍に置かれた。その時だった。

「グァアッ、ゴォァアアアッ!!」

 ナツが突然暴れ出した。近くに来ていた3人に一気に襲いかかる。

 首筋を裂かれ、嘘のように血飛沫が舞う。腹部を抉られ、膝から崩れて自分のはらわたに倒れ込む。胸腔を穿たれ、呼吸ができずにもがき苦しむ。阿鼻叫喚の地獄めいた光景。

「な、なんじゃ、毒が効いとらんか?!」

 さすがのフチも慌てふためいた。祭具の斧を一度手に取ったが、にやりと笑うとそれをまちに託した。

「まち、早くやれ! 脚か腕じゃ! 落とせ!!」

 まちが相手であればナツは何もできないだろうと踏んだのだった。まちにそう命じると、自らはナツから距離を取る。

 ナツは狂ったように暴れている。鎖が軋む。鉄格子が歪む。今にも放たれようとしている風に見えた。フチから斧を受け取ったまちは、素早い身のこなしでナツに斬りかかると、いとも簡単に左手を切断した。ナツの咆哮が洞窟内に響き渡る――

 辺りは血の海といった凄惨な様相を呈している。裸電球には血がべったりとこびりつき、赤く禍々しい光を放っている。

 この騒ぎでようやく山村は意識を取り戻した。耳を劈くような咆哮。見ればまちによってまさにナツの手が切断されたそのときだった。撥ね飛ばされた手首はあろうことか彼女のすぐそばに落ちた。山村は徐にそれに手を伸ばした。そしてまだ温かいそれを取り上げる、中身がずるりと地面に落ちた。

 白い、人の手だった。

 山村は叫ぶでもなく、小さな動きで辺りをゆっくり見回した。暴れるナツにまちが何度も襲いかかっている。それを注視しているフチは彼女が目覚めたことに気付いていない。

 ふと見れば、鉄格子の向こうの良夫は山村が意識を取り戻したことに気付いたらしく、激しい動きで何かを伝えようとしているようだ。彼女は手中の毛皮に目をやった。良夫が強く頷く。

「ぐぁっ! な、なん……」

 まちの猛攻にあって、悲鳴を上げたのはフチであった。

 山村がナツの切断された手首を持ち、その鋭い爪で首筋に切りかかったのだった。

 フチは苦しげに首筋を押さえ、瞳に殺意を漲らせた。憎しみのあまり言葉にならない叫びを上げながら腰の小刀を投擲したが、バランスを崩し――刃渡り10センチほどの小刀はまちの腹部に深々と突き刺さった。

 凍りつく面々。しかし、まちはそれを意に介さず、抜くこともせずにそのままナツへと踊りかかっていった。ナツはこの時を待っていたのだろう。

「――っ!」

 まちの斧を残った手で受け止めたナツは、背面から彼女を抱きすくめるようにすると、耳元でいつもの言葉を囁いた。まちは眠るように崩れ落ちた。それを見届けたナツも、彼女を守るように抱きながら鉄格子にもたれかかった。

 良夫が大きく戦慄きながらナツに近づいていく。足が血溜りを踏む。その足に感じる生温かさはナツの腕から止めどなく失われていく命そのものだった。

「よしお……ごめん。まちが……酷いケガなんだ……」

 かろうじて形の残った右手でゆっくりとまちを床に寝かせるナツ。誰のものとも知れぬ血に塗れた巫女服は元の模様もわからない程になっている。

 良夫は口の布を千切れんばかりに噛み締める。見開いた眼からはぼろぼろと涙がこぼれた。

 彼は震える手をナツに寄せ、その切断された方の腕に触れた。そのまま腕を辿り、ゆっくりと下に――切り離されたその部分から、わずかに覗く膚を確かに目にした。

「ううううううううっ!!」

 良夫は激しく泣きじゃくりながらナツの腕を持ち上げると、それを覆っている毛皮を剥くように捲った。血色の失われた青白い膚が露わになる。再び激しく声を上げた良夫は泣きながらそれを慈しむように頬ずりしはじめた。

「くすぐったいよ……はずかしいよ……やめてよ、ねえ……」

 ナツは力なく答えた。しかしもう体を動かす力も残っていないようだった。

 山村は放置されているまちの容態が最も憂慮すべきだと思い焦っていた。斧の刃を使って縄を切り、口の布も剥がすと、倒れ伏すフチの着物から鉄格子の鍵を見つけ、それを開け放った。

「良夫さん! まちさんを運ぶのを手伝って!」

 良夫は当然聞いていない。彼の気が済むまで待っている時間はなかった。

「ナツさんの、言葉を聴けってんだよ!!」

 山村は良夫の胸倉に掴みかかると、声を荒らげた。そして頬を張り、もう一度言う。

「いいからナツさんの言っていることを、聴け!」

 そして彼の髪を掴み頭を鉄格子に叩きつけると、ナツの顔の近くに押し付けた。

「まち……まち……しなないで」

 ナツの目はもうどこも見ていない。うわ言のようにまちの身を案じているのみだった。

「ナツさんの願いを、最後の願いを叶えなくて良いのかよ?! どうなんだ!」

 良夫の目がはっきりとナツの顔を捉えた。そして死んだように横たわる青白い顔のまちを見た。

 山村は良夫の戒めを解く。その頃にはナツはもう、言葉を発しなくなっていた。

「良夫さん……行けますか?」

「…………はい」

 消え入りそうな声で良夫は答えた。

 

   *  *  *

 

 山村とまちを抱きかかえた良夫がようやく洞窟の表に出ると、降りしきる雨と夜の闇に紛れるようにしてほのかが立っていた。事態は一刻を争うが、無視して横を抜けることは叶わない。

「ナツは――」

「な、中にいるが、もう……」

 ほのかの問い掛けに、良夫が絞り出すように答えた。

「……そうか」

 そっけなくほのかは呟いた。それから良夫の腕の中にいるまちを一瞥すると、「その巫女は、急いだ方がいい」とその身を案じた。

 しかし次の瞬間、敵意を放つと鋭い視線を山村に向けた。

「ただ、その姫と行くことは許さん――大事な仔を見逃すわけにはいかない」

「なっ……?!」

 言い返そうとする良夫を、山村が手で制した。ほのかが畳みかけるように言う。

「早く行かねば巫女は死ぬぞ?」

 山村は静かにほのかの元へ歩み寄ると、くるりと振り返って良夫の目を真っ直ぐに見つめた。

「私はこの村の大事な部分をめちゃくちゃにしてしまいました……良夫さんの大切なものをこれ以上、めちゃくちゃにするわけにはいかないですよね。まちさんと、ナツさんの遺志を――。大丈夫、死ぬわけじゃないんですから、ね?」

 そう言いながら雨に打たれる山村の表情は笑っていた。しかしその体はがたがたと震えている。

「いいから急いで! お願いだから、まちさんまで私に殺させないで!」

 怒鳴るような叫びを受け、良夫は踵を返すと一気に駆けだした。

 せめて腕の中に託された最後の約束を違えてしまわないように。

 

   *  *  *

 

 山村とほのかは洞窟内に戻る。ナツの亡骸を確認したほのかはしばらく動きを止めていた。

 そして何をするかと思えば、ほのかはナツの毛皮を脱がしていく。

山村がしばらく見守っていると、毛皮から解放されたナツが眼前に横たわった。

「あまり見てやるな姫。クマ井の雌は同族にも膚を晒さぬのだ……巫女と交わるとき――」

 話の途中でほのかは急に黙って、何かを察知したように辺りを見回した。それから呟いた。

「山神様が、お嘆きになっている……」

 そう言い終わるがいなや突然、地鳴りがしはじめた。

 電球が消える。山村の脳裏に嫌な想像が浮かんだ。

――山神、女神の怒り……龍神の……。

「ナツ……最期にお前といられてよかった」

 地鳴りが大きくなり、洞窟内に落盤が起こる。

 突然のことになす術なく立ち尽くしながらも山村は思った。

 これでまちもこの村の呪いから解放されるのではないか、と。

 

 

つづく


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