たしかに正しいけど、その通りだけど。

ブログじゃないという体でまとまった文章を置いておきたい場所

映画を観たよ

 私は最近まともにアニメも観ずにふにゃふにゃしていますが皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

 

 さて、そんな私が最近していることと言えば標記のことくらいなものですので、そのことについて少し書いておこうかと思います。鑑賞云々も死んじゃいましたしね。

 

 最近、似た題材を扱った作品を続けざまにふたつ観たのでそれについて書くことにします。どちらも例によってホラーです。誰も観ることがないと思いますので簡単なあらすじも書いてしまいます。悪しからず。

 

 

 

●『ベイビー・キャッチャー』(原題:Still/Born)

 夫の昇進を気にマイホームを手に入れた夫婦。妻は双子を身籠り、まさに幸せの絶頂といったふたりだったが――

 冒頭から出産シーンだったかしら。そこで双子のうちのひとりが死産となってしまいます。場面が移って新築(?)の自宅。寝室にはベビーベッドがふたつ置いてあり、そのうちのひとつはその役目を果たすことはないわけです。無理もないことですが、それをきっかけにしてか、妻は産後鬱の症状を呈し始めます。

 上述の似た題材というのが、この「産後鬱」です。どちらも原因は違えど、母親が産後鬱(らしい症状)に陥り、凄惨なことになるという内容です。簡単に言うと。

 この作品での妻は夫が出張で家を空けがちになり、孤独に閉じこもるうちに段々と幻覚などが見えるようになるなどし、それが邦題にあるように子供を盗られる、喪ってしまう恐怖に結びついていき、症状が悪化する――という流れとなっています。
 これがちょっとひとつ、不満な点を生じさせるのですが、双子のうちのひとりが死産。これは確かにガツンとインパクトのある悲しい展開です。でもその他の環境が整っているのですよね。夫はとても優しく家を購入したことで稼がねばならず仕事が忙しい中であっても妻を気遣い、子供の面倒も見ようとするし家事も手伝うし、仕事の忙しさを当たり散らすこともありません。また、赤ちゃんの祖母(妻か夫の親)はその妻と頻繁にビデオ通話で様子を気遣い、育児を手伝いに行こうかという話にもなりかけます。なりかけるだけでしないんですけど……でもビデオ通話でも明らかにおかしい挙動をするのでめちゃくちゃ心配になるはずなんですけど……。さらに孤独と書きましたが、御近所さんに年頃の近い、同じくらいの赤ちゃんのいる所謂ママ友もできて、その人との交流もあったりするんです。結構恵まれていません?
 まあ要するにです。あんな酷い状況になる前に、もっと対処できたのではないか……と。酷い状況になること自体はまあそういうこともあるでしょう。病気なので*1。でも最終的には来る親が遅すぎるのもあれですし、一端入院までしているのに脱走して、凶行に出られると……本当に悲しい気持ちになってしまいます。結末として凄惨な状態を見据えるのであれば、その途中で助かっちゃいけないわけなんで、仕方ない――とは思えないんですよねこれが!

 とても悲しい出来事で産後鬱になった妻が霊的なものに振り回されて最後には死んでしまう。対処がとても困難で虚しさを感じざるを得ない。
 私は少なくともそういったことを表現したいのだと、それのしくじりであると読めてしまったわけなんですけど、そうであるならばもっとその結末に妥当性がなきゃダメだなあと思うのです。手を尽くせてないやん! と歯がゆく、憤りを孕んだ虚しさを感じます。
 これ即ち虚しさを演出できているよという話なのかもしれませんが、だとすればもっと困難さと正面からぶつかってほしいです。例えば親がもっと早く、それこそ出張が決まったところで確実に妻をひとりにしておかないようにしておいてもなお、事が起こってしまった。となればそれはより処置なし感が際立ちますし、手は尽くされているので歯がゆさも軽減され憤りも少ないでしょう。

 ぐだぐだと書いてしまいました*2が、好いところもあります。
 まず、魔女ラマシュトゥという存在を出すのは好ましいですね。ただそれは名前だけで、お話になぞらえた何か儀式的なものをするでなく、単に生贄として別の赤ちゃんを――くらいなことにしかならなかったことは残念です。調査パートもほぼ無かったですしね。
 あとは魔女の録音できていた言葉、妻の「何故うちの子なの?」みたいな問いに「ひとりめが旨かったからだ」的なことを言ったの、あれはよかったですね。この着想から脚本ができたんじゃないかとすら思えますね。
 それと演技は上手です。比べるのもとても失礼なことですが、普段観ているゴミ屑ホラーとは雲泥の差で……へへ。

 まあそんなこんなですが、誰にも頼らず、方策が尽くされず失われていく幸せな日々に絶望する夫に感情移入したい方には、おすすめです!

 

 

●『マザー・ドント・クライ』

 こっちのお話は、先に挙げたものと比べてかなりシンプルな感慨です。一応あらすじを書きます。
 家出をしていた娘が戻ってきた。しかし直後に出産。母は娘にその子の父親は誰かを尋ねるが答えようとしない――

 これもほぼ冒頭が出産シーンでしたねそういえば。
 えーと、まず母子家庭です。娘も結果的にシングルです。話の途中で徐々に明かされますが、家出をした後すぐに街まで乗せて行こうかと車で現れた男に強姦されて出来た子供だということです。
 そういったことで、こちらの作品では二進も三進もいかない状況が作られています。その点では安心でした。

 まあさらに、本当に悲しくなるような設定が少しずつ明かされていくのですが……まあ母親(赤ちゃんからすると祖母)もメンタルの人で、そもそも生育環境が悪いんですよね。さらにその母がかかっていた精神科医が……あれ、読み違えだとよくないんですが、普通に母に気があったんですよね? それで放っておいても大丈夫だって言って母を食事に連れ出したわけですよね? 最初は母もゴミ屑なので娘と孫から離したのかな? と思ったのですが、あの精神状態の(虐待の可能性も大いに考えられる)娘よりかはまだ母の方がましなんじゃないかと思っちゃいました。さらに幻覚だと思う存在から「子供を殺せ」と言われていることについて、治療としてそれに従ってみろなんて言っている場面があって、その辺の意図はなんなのだ……? というのが少し腑に落ちません。子供の安全を第一に考えているわけではないという読み取りができてしまって、そうすると医者が母に気があったと考えるのが妥当かなって思ってしまいます。

 あ、そういえば思い出しましたが、赤ちゃんの傍に置いておいて泣き声があるとスピーカーを通じて泣き声がレシーバーから聞こえるシステム。あれ、両方の作品でありましたね。その辺の使い方は『ベイビー・キャッチャー』の方がちゃんとしてたかな、と思います。こっちだとそれが作動していないのに赤ちゃんが泣き喚く幻聴が聞こえる、くらいの使い方しかされていなかったので。

 話を医者に戻すと、最後、母親が死んだのをよそに娘に麻酔を打って赤ちゃんを持ち去って……なんなのでしょう。なんなのだあれ。本当になんなのだろうか。

 あとはそうですね……私の趣味の話で言えば、この作品の心霊的な根拠が、その村であった過去の凄惨な出来事の呪いなのではないか、ということなのですが、それを鵜呑みにした主人公がオカルティックなおこないでの解決を目指したりしたらよかったかな! まあ産後鬱で弱っていく中でそれができるだけのバイタリティが保てないのがちょっとこの題材との相性の悪さを…………だから、前者の作品で例えば夫がそちらに傾倒して調べていってこじれるとかでもよかったんだよなあ(どっちの感想なのだ)

 全体を通して見ると、環境の悪さが目立ち、むべなるかなという感じを強く受けます。「ままならないな」という気持ちを凌駕して、「まあこういう場合もあるだろうね。仕方ないね」といったところにまで気持ちがいってしまいました。
 そこまでいってしまうと、やるせなさみたいなものは逆に想起されないのだと、その日私は知りました。

 

 どうしようもない場合もあるな。ということを知りたい方に、おすすめです!

 

 

 さて。これを書くにあたり他の方の感想も探してみたところ、『ババドック~暗闇の魔物~』なる作品がまた似通った題材であるという情報も目にしました。

 今度はそれにも挑戦してみようと思います。

 

 あと最近観たゴミ屑を含めたホラーについてせっかくなのでメモしておきます。

ミスミソウ』『それ ~それがやって来たら…』『黄泉がえる少女』『心霊スパイラル001』『怪奇蒐集者シリーズ』『シスター』『口裂け女 in L.A.』『口裂け女 VS メリーさん』『ホラーの天使』『リアルお医者さまごっこ』『心霊玉手匣 constellation』『デンデラ』『ザ・ヴィレッジ』『フリーキッチン』『ドント・イット』『新感染 ファイナル・エクスプレス』『THAT/ザット』『悪霊館』『奇死伝 パラノーマル・デモニッション』『百合色』『こどもつかい』『埼玉喰種』『うしろの正面』『凸撃!!心霊調査隊 カチコミ』『戦慄ショートショート 恐噺 うしろにいますよ』『投稿 怨霊映像ベストランキング30!』『屍憶 -SHIOKU-』『戦慄の果てに女は嗤う』『呪家2』『マインド・エスケープ』『劇場版 屍囚獄 結ノ篇』『呪家 ノロイエ』『婆の怨霊』『呪怨館』『アンノウンッ』『ヴィジット』『浮遊霊!』『パッセージ 牙剥く森』『スケア・キャンペーン』『グレイトフルデッド』『事故物件 クロユリ荘』『どけっ!』『丑刻ニ参ル』『イット・フォローズ』『ライト/オフ』……

ちょっと、どこまで書いたらいいかわからなくなってきちゃったのでやめましょうか。最近と言いながら去年の5月まで遡っちゃった。にはは(がお。。。)*3

*1:まあ病気じゃなくて少なくともなんらかの心霊現象なんですけど

*2:文句は筆が乗るのんな。

*3:古の鍵っ子並の台詞。


掲載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。