たしかに正しいけど、その通りだけど。

ブログじゃないという体でまとまった文章を置いておきたい場所

今日の気づき(パクり)

本物であり特別な価値を持つものを見出すことは、即ち偽物でありありふれた価値のないものを見出すことであります。

本物を求めるということは偽物とは一線を画したいということであって、その背景には優越したいという気持ちや偽物を軽蔑する気持ちがあることがまず考えられます。もしくは単に高潔たろうという志に因ることもあり得ましょうが、後者は特殊な条件が付されていなければ納得困難な気がします。

そんな、偽物と自分を切り離したい気持ちは劣等感に対する反応として惹起されることもあるでしょう。もちろん他のルートもあり得ますが、この場合は劣等感の存在を解釈し得ればそれで足りる話です。

人間関係を含む関係性がなければ、比較対象がなければ劣等感は生じづらいでしょう。

関係性での劣等感は直接的な事由で解消不可能であるならば、別の面で対処しなければなりません。そして、その面こそが価値のあるものであると信じなければなりません。

ある面においては劣っているかもしれないが、本当に大切な面においては優れているのだから総合的にみて誇っていいよ。というわけです。

少し話がずれますが、思春期など比較をしたがるタイミングである印象があります。また学校は集団生活で同じことに取り組むなど比較の場面が多いように思います。
そのことは上述の事柄を生じさせやすいと考えられますので、即ち中学高校あたりの舞台設定において上述の事柄は相性がよく、頻出となりそうな気がします。

虐められていた生徒が何かのめり込んでいる趣味などで驚嘆すべき成果を出す、または出したかと思いきや出せてなかった。みたいなのはよくありそうなお話です。

とかく、共感を覚えやすいか、感慨が得られやすいか、という点で有利な印象があるものですから、そりゃあ採用頻度の高い類型なのだなあという気づきでした。

何かの教科書にでも書いてありそうな話ですよね。でも自分の頭の中由来だとこんな程度にしかならないわ。まあとにかくストレスから身を守るんだ。

 

ところでルサンチマンってなんだろう……あんまり響きが好きじゃないな。ストレッチマンみたいで。

ゲームすらしていないとなると、何しているんだ?

 常日頃、思い返すと大体ミラクルニキっていうゲームしてるんですが、これやっちゃうとほかのデイリールーチンゲームできなくなっちゃいますね。

 

 アズレンしていたんですが、最近はフェードアウトしてきています。私にとって日々のルーチンは忙しいときにでもできる程度の分量じゃないと継続が困難で、心が折れてしまいがち。最短で10分くらいで終わらないと(めちゃくちゃ)

 

 そういったことになってしまう原因のひとつに、先日替えたスマホの動作が重いというのがあるのですよね。これが絶望的です。
 というのも、例えばアズレンであれば、ドックの一覧の表示に数秒かかるとか、ホーム画面に戻るのに左上連打してると、処理が遅れて秘書艦を変更しがちであったりなど、かなりのストレスです。操作は快適じゃないと。特に面倒なやつは。

 もっと致命的なのが音ゲーで、ラグるので何もおしまいです。フォトカツ……あとついでにガルパとかも。

 継続できているニキですら少し重さを感じます。例えば目標コーデ画面を開こうとするときなど。2秒くらい画面が固まることがあります。こわいですね。
 それでも圧倒的に軽いし、拘束時間も短いしで……うーん。

 

 さて、ここで少々ニキの話をいつだか振りにしてみましょう。
 ニキといえばバトルがわかりやすいゲーム性ですが、わかりやすく言えば、じゃんけんみたいなものです。
 じゃんけんみたいなものなのですが、スキルを打つタイミングと評価シーンのずれや効果発動までのラグなど遊びがあるのでちょっとした戦略が必要です。でも究極には運ですね。あとは運がよければ、という状態にどれだけ持って行けるかゲー。

 あとは課金がきつくないのもよろしいです。いくつか種類のある短い周期で開催されるイベント、その中でも一番厳しいランキング報酬を狙うイベントであっても、まあ精々10kで満足いく結果が得られるでしょう。あとは取捨選択で月に数k入れるか入れないか、です。

 とはいえ、入手した服やアクセサリーを組み合わせることで既存のキャラクターを表現してみたり、単純にアイテムをいっぱい集めようとしてみたりなど、スコアーを追う以外にも遊ぶ余地はあります。

 最近は運営が雑でみんな困っちゃっていますけれどね。頑張ってくれたのむ。

 

 さあみんなもはちゃめちゃなコーデでクイッククリアーし散らかそう!

 

 

 しかしまあ任意のタイトルが満足にプレイできない現状、咀嚼すると悲しい状況ですねぇ。ソシャゲだけに。おあとがよろしくないようでし。

ジャンルの闇

 こんばんは。

 特にどうということはないのですが、機会を逃し続けて結局消えていってしまいそうな概念の一部を今回とりあえず仄めかしておくことにします。
 前提となる独自解釈はあんまりないと思うのでまっさらな気持ちで大丈夫なはず。

 

 何かのコンテンツを分類する、ジャンル分けをするときの話です。
 キモとなるのは単純な考えで、

 1 ジャンル自体に符号以上の意義は存在しない
 2 ジャンルの意義も発散している

このふたつです。と思ったら発散とか言い出してるじゃんね。ダメね。

 

 発散だけは簡単に説明しておきましょう。
 自分の考えは当然他人とは違うので、極論、ありとあらゆる捉え方が同時に存在していて良いという――言い換えれば、それぞれがそれぞれにとって正しく見えることはあっても、絶対的に正しいものというものは存在しないのだ――という考えを前提とすると、いろいろなものが結論として「お前がそう思うんならそうなんだろう。お前ん中ではな」ということになって無意味に思えちゃう。そんな現象のことを発散と呼んでいます。

 

 はい。というわけで上述のものを順にメモしていきます。

 

1 ジャンル自体に符号以上の意義は存在しない
 これは発散の前身となる絶対的な正しさは存在しない説をそのままジャンル分けに適用しているだけですね。今気がつきました。
 符号としての意義というのは、自分の嗜好に合ったものが存在する可能性が高いジャンルを追うと便利だね。ってことです。

2 ジャンルの意義も発散している
 これは1の補足ですね。そんな意義も、個々人の嗜好はバラバラですから、あるジャンルに含まれるものが自身の嗜好に合致する確率もまた、バラバラであるということです。
 そうすると、ジャンルそのものに集まった同好の士と思われる人であっても、そのジャンルの広さによっては必ずしも一様の嗜好を持った人たちであるとは言えない。ということになります。
 これが結構曲者で、例えば同じメイドが好きなんだーと言っている人であっても、メイドの在り様が好ましい人もいれば、メイド服のひらひらが好きな人もいるという当たり前のことではあるはずなのに、「このメイドかわいい」という意見に対して「いや、そんな露出が多くひらひらと華美な服とか邪道だろ」なんて言ってみたりしちゃう。そうして「ヴィクトリアンメイド」だとか「ロリータメイド」みたいな細分化がなされると、それぞれを嗜好する者の母数も必然的に少なくなり、衰退していく……みたいなところまで簡単に想像できますね。いやどうなんだ。でもまあそんなことです。


 文化研究みたいに論じるのはそれはそれで別の意義があるのかもしれません。学術的な? と言いますか。
 でも今ここで言っているのは通常嗜好時にジャンルを捉える際に私が弁えていることになりますね。

 

 まあ結論は何かっていうと百合はレズじゃなくねぇんだ線を引くんじゃないふわっとさせておけ。という話でした。それも私が弁えているってだけですけどね(発散)

新春初投稿

 あまり書くことがないといいますか、まあ薄めたような日々を送っているのではありますが、一応時間ができれば何かと事が起こりますので、年末年始は様々なことがありました。

 

◆29日は食事と麻雀

 久し振りに東京でお会いできる友人と何人かで食事会がありました。(とても楽しかったですが割愛。)それが終わってから残った4人で久し振りに徹夜で麻雀をしました。所謂徹麻というやつです。
 麻雀自体かなり久し振りということもあり、結果は散々でしたが楽しかったです。
 ひとりでも今はネット麻雀やアプリなど、しようと思えばできるものですが、やはり実際に友人と卓を囲むというのはよいものですね。散々でしたけれど。
 ちなみにその後は、入浴施設で洗身ののち、少し仮眠……はいろいろあってとれなかったので、帰りの電車で気絶し、それから自宅から駅まで車で来ていたために、さらに車中で仮眠をとって帰宅。そこからまた2時間くらいだったか仮眠をとりました。

 それからいろいろと悩んだのですが、翌日のコミケ3日目に参加することに決め、確か18時くらいからゆっくりサークルチェックを始めたのでした。
 チェックといっても、私は普段サークル買いしかしないので、そのサークルさんたちの様子を伺うくらいのものでしたが、準備も含めて日付を跨ぐくらいまでかかってしまったので、急いで就寝しました。その慌ただしさが良くなかったのですなあ(普通)

 

コミケと頭痛

 コミケ3日目は結局14サークルを回ったのみでした。会場到着も9時半くらいで、会場入りが10時40分くらいだったと思います。このくらいの小規模さならこんな程度のナメプタイムで行っても行けるのだなあとまたひとつ賢くなりました。
 それから昼食をとり、また入浴施設に行き(また、ですが恒例なので……)休憩をとりました。そのくらいから徹麻の後遺症が出始めまして、頭痛がじんわりと生じてきたので、持っていた頭痛薬を飲みましたがなかなか効かずに難儀しました。

 それから恒例のコミケ打上げと称した食事会に参加しました。私の世代はなかなか普段集まることもそう簡単ではないので、何かにかこつけて集まろうというお話です。
 打上げでは最近あまりお話できていなかった人とも話すことができ、楽しく過ごせたのですが、頭痛がだんだんと頭をもたげてきたためにやむなく二次会は御遠慮させていただく形となりました。

 とても残念でしたが、さryちゃんとトレーディングカードできたのでよしとしよう。

 帰るとちょうど23時45分くらいで、うちの人らに新年のあいさつをしつつ湯浴んですぐに気絶しました。

 

◆明けまして新年

 元日は月曜だったので平日設定のアラームが鳴り、ぐだぐだと起床しました。微妙に陽が出ていなくて、その直後にリビングのこたつで二度寝してしまったので初日の出は見損ねました。ふぇぇん(真顔)
 ここから怒涛の雑煮ラッシュで、今日までで10個くらいは食べたと思います。確実にやばい。怖くて体重計には乗っていません。肉腹巻が肥厚していることと思います。

 さて、この日は初詣――これは近所の神社だったのですが――というわけで少し足を伸ばして行ったことのない神社に行ってきました。
 近場のよくわからない寺院に比べたら慎ましく、待ちの列も短かったのでよかったなあという感じです。あと圧倒的に静か。これはよかった。

 とりあえずおみくじは引きました。
 おみくじには感情を抑えろと書いてありました。
 本年の抱負は感情を殺すことになりました。

 夕食は謎の唐揚げ店に入りました。
 げんこつ大……とは言わないですが、それより一回りくらい小さいだけの、とても大きな唐揚げがごろごろと入った定食を食べ、新年早々食べ切れずに残しました。
 太るからーなどという話ではなく、普通に量が多すぎて食べられなかったというやつです。
 いや、確かにそのときに糖質制限とは――とか、結局総摂取カロリーを減らすべきで、それには9 kcal/gの脂肪分を減らすのが効率が――とか言ったり、今はそういえばcalじゃなくてJなんだっけな――とか思ったりしてはいましたが、本当に食べ切れなかったので仕方がありません。ごめんなさいとりさん。干支が変わったからってそんな仕打ちをしているのではないです。ごめんね。

 まあでもいろいろ話してすっきりしました。痩せたい。

 

◆今年の干支

 犬じゃん。私が頑張らなきゃダメな年ですよ。
 犬キャラのことを少し……いや、個別具体的なキャラクターだった気がしますが、とにかく考えたことで決意をしました。

 犬の決定版たる何かをパッケージングしなくちゃいけない、文章で残さなければならない、って。そうです、拗らせた犬のお話を、犬の拗らせた話を書かなくちゃ(使命感)

 というわけで、こんな投稿をすることで逃げ場を無くしていこうというお話なのでした。結論はそこだ。前置きが長くなったわ!

 

 どうにかしていきたいのですが、どうにかなるでしょうか。どうにかしてぇのんな。

フリル地獄

 虚無が平常運転すぎて何も表出するものがないので居ない者と化していますが御容赦くだち。

 

 最近は何故かマカロンを作っていまして、ただのキモイ人化に拍車がかかっているのですが、どうにも納得いくものができないので記事にすることもできず、いやしかし……というわけで我慢できずにしたためているわけです。おしまいだ。

 いやほんと、お菓子作りなどまったく縁がなかった私ですら何やら難しいらしいということだけはおぼろげながらに知っていただけはありますね。どうもこうも上手くいかない。漠然と、レシピがあるんだから実験よろしく分量や時間さえアレンジせずそのとおり素直に作ったら行けるやろなんて思っていたものですから、すっかり地獄と化しましたね。

 

 まず、材料費がえらいかかるのが地獄です。
 マカロンの主な材料は卵白と砂糖とアーモンド粉末(アーモンドプードル、以下APとします。)です。
 とりあえず作ろうと思い立った場合に用意しなければならない材料としては、卵などは他にも使うので常備されているとして、砂糖は粉糖を多く使うのでそれを、あと当然APは常備されていないでしょうからそれもですね。
 適当なスーパーで買うと粉糖は200gで200円くらい、APは70gで500円くらいするので、詳しい分量は割愛して1回の調理で300円ちょっとかかる感じになります。消耗品だけで。きついですね。

 まあほかにも絞り袋や食紅、挟む物などいろいろとありますがとりあえずマカロンを焼こうとした場合そのくらいかかるということで。

 とにかく試行回数稼がないと……みたいなところがあるので、常に消耗していくものがそのくらいかかってしまうとなると、まるでガチャのようですな。全然成功していないので言わば未だに狙っているものが引けていない状態なのですけれど。まさに地獄だとは思いませんか。

 

 そもそも、作り始めたのがちょっと前にオーブンレンジを買い換えたからなのでした。ヘルシオのAX-AP300です。オーブンの癖が影響大なのでとりあえず明記しておきます。つまり同じレシピでもオーブンが違えばほぼほぼ同じようにはできないってことですね。

 とにかく、せっかく買ったのに普通に温めだけしているのはもったいないということで、何かオーブンを使ったものを作ろうと思い立ったのでした。そしてせっかくならと難しいイメージのあるマカロンを……という流れでした。後発の方などいないと思いますが、そんな考えで作ろうとするのはマジでやばいので真似しないようにと声を大にして言いたいです。

 

 さて、ちょっと検索してみるとわかるのですが、マカロンのレシピなんてものは無数にあって、それぞれが少しずつ違うことを言っています。
 その原因で一番多くを占めているのがオーブンの特性の違いでしょう。
 レシピを上げている人、それぞれ使っているオーブンが違うでしょうから、同じ設定にしても熱の入り方が違いましょう。どうもマカロンには上火と下火の微調整という概念が要るらしく、プロが使うオーブンはそれぞれが調整できるみたいです。さもなければ持っているオーブンのヒーターがどこに付いているか、熱風がどこから噴き出すか、そもそも加熱が対流式なのか、などなど様々な条件が違って同じ設定温度でも中でどんな風に加熱されているかなんてわかりようがないのです。それこそ温度計など入れたりしない限りは。
 でも温度計で正確に測り生地が実際に晒される温度を規定したレシピなんかないのでそれぞれが成功した設定温度を好き勝手に書くわけです。だから必要な情報はオーブンの型番と設定温度のセット*1。もっと言うと温度調整に影響するような操作も。扉の開閉をどれだけスムーズにするかだったり、天板を置く位置であったり、天板の素材、枚数、紙などを挟み込む場合その枚数なども。
 ただそれさえ決まれば…………というわけにもいかないのが、マカロンの意味不明なところですね。

 

 しかし、そもそも成功の状態というものも複数あるので、答えは無数にあると言えます。地獄だゾ。

 具体的に言えば、成功の状態は例えば

・皮がしっかりとしていてボリュームのあるものを挟むので多少の空洞は気にしない。

・焼き色を付けず、空洞もない。さくっ、ふわっとした食感。

など、どこまでがゴールか(後者の方が困難です。)が異なってきますので、自分の目指すゴールまで到達できるレシピの判別が困難です。

 また成否に影響する要因が無数にあるのも困りもの。本当にすべての工程が影響してくると言っていい感じなので挙げきれないのですが、例えば代表的なところを挙げれば

・材料の配合割合(粉糖とAP、卵白(それとグラニュー糖)の比率)
メレンゲの製法(イタリアン? フレンチ? スイス?)とその出来
・マカロナージュ(混ぜ方)の程度
・焼く前の生地の乾燥具合
・オーブンの特性(設定温度まで実際に上がっているか? 上下どちらかが強い? 弱い?)

などこんな感じですか。それらが複合的に影響してくるらしいので、こっちが不足だったけどこっちがむしろ過多なために成功したみたいなことが平気で起こります。

 また逆に、ある失敗の状態に対する原因が複数存在するということでもあります。
 失敗の状況としては

・ピエが出ない(膨らまない)
・生地が割れる
・空洞が出来る(空洞化)
・焼き色が付く
・生焼けになる
・生地がシートから剥がれない
・食感がねっちりとしてしまう(飴化?)
・油染みができる

などなどいろいろあり、大体すべての失敗をしてきましたが、中でも空洞化・飴化(大体同時に起こる)と焼き色が付くことは、私の環境で普通(普通ってなんだ……)に焼くと毎回起こります。原因がわからぬ。

 大体失敗した状況に対する原因が一覧になっていたりするんですが、ひとつの失敗に対していくつもの原因が書いてあって潰していくのが困難です。潰そうとしても他の要素が一定にできないと言いますか……(実力不足)

 例えば目下模索中の空洞化。これは主な原因が下火が強いこと、と言われていますが、調べると乾燥過多、メレンゲのきめが粗い、マカロナージュ不足ということも挙げられていたりします。が、なんと下火が弱いことやマカロナージュ過多も原因として挙げられていたりでもうこれわからないなって感じです。

 

 そんなこんなで、上手に出来ることがもしあれば、ちゃんとレシピを残したいと思いますが……果たしてゴールすることができるのでしょうか。ぴんちです(古のオタク)

*1:でもオーブンの型番まで書いている人は非常に少ない。ゴミ。

歩行する怪

 私の名前は彩果(あやか)。20歳の女子大生。文学部で心理学を専攻しています。
 今日はそんな私に先週振りかかった、不思議な出来事についてお話しします――

 

 私は北陸の海にも山にも近い片田舎出身。幼少期は親にも育てやすい子と称されるほど、大人しく手のかからない子供でした。兄弟はおらず、常にひとりで与えられた人形などで静かに遊んでいたそうです。
 そのまま大きな変化なく成長して小学生時代、海も山も近かった関係で他の子供たちはアウトドアな遊びに日々勤しんでいた一方、私は家でひとり本を読んでばかり。けれども本を読んでいたのは単に外に出て遊びたくなかったからで、テレビを観たりテレビゲームで遊んだりするのと違い、そうしていることを親に咎められることがなかったからという消極的な理由でした。
 そんな私でしたから、まるで物心つく前からレールに乗せられていたかのように順調に所謂オタク趣味に傾倒していきました。

 ひと口にオタク趣味と言っても実態は様々あるでしょうが、私は主に漫画を嗜好するようになっていました。オタク趣味の方向性は、その芽生えの時期に過ごした小さな世界の流行りに左右されるというのが私の持論です。私の場合、小中高と長い間を一緒に過ごした唯一の親友とのふたりだけの関係において生育された、とてもとても狭い世界での嗜好でしたので、漫画が趣味のオタクですなどとはとても言えないような、今の認識で言うならば単に内向的な趣味の陰キャラ地味女くらいなところです。これは、大学1年次の終わりにようやく思い切って足を踏み入れてみた所謂オタサーにおいて思い知ったことで、それまでは公言はしませんけれど、ある種堂々としたオタ自認というべきものを持っていたわけですが、その認識が揺らいで恐ろしくなってしまったところでした。

 そんな、恐ろしい経験はしたものの、ひとつ収穫はありました。
 それは大学において、初めて友人と呼んでよいような存在に巡り合えたことです。

 内向的で目立つことのなかった私ですが、親に文句を言われたくない、怒られたくないという意識の賜物か、学校の成績についてはある程度の水準を維持できていました。やはり勉強というものも、幼少期の私が読書に傾倒したように、注力して咎められることがないのが楽でした。そして言われるがままに、都内の私大を受け、そのまま入学の運びとなりました。親友は地元に近い国立大に見事合格し、地元に残ることになりました。ついに進む道を異にしてしまいましたが、彼女はドライなもので「在学中に一度くらいは帰ってきなね」なんて言っていました。私は少し泣きました。
 ちなみにいろいろあってまだ一度も帰省していません。図らずも彼女の言うとおりになってしまっているわけですが、まだ2年あるからそれまでには帰ろう。そう思っています。

 話が逸れましたが、サークルで出会った友人のことに戻ると、彼女はなんというか、私はとても眩しい方でした。
 私とは違い人懐こく適度に社交的で、私とは違い活動的で観光地や飲食店などに詳しく、私とは違い漫画もアニメもゲームも幅広くそして深い、紛れもないオタクでした。

 そのサークルに所属する人は圧倒的に男性が多かったのですが、一学年に何人か女性もいました。それでも、大学に入って初めて知人関係となったのですが、ほとんどの女性は広くオタクといっても、大きく捉えて男性同士の関係性を嗜好する方たちでした。
 私と私の親友の間ではたまたまそういった作品にハマることなく、少女漫画から始まり、青年向け漫画や美少女コミックと言われるようなジャンルのものと少しのライトノベルで、どのキャラがかわいいとかどの話が面白いだとかこそこそと話していただけだったものですから、私にとっては急にあまりに毛色の違うメインストリームに呑み込まれそうになったわけで、持ち前のコミュニケーション能力不足も相まって少々困っていたとき、話しかけてくれたのが彼女でした。
 あとから彼女も、自分もどっぷり男性向けの趣味で、なかなか同性で話ができる人がいないことを寂しく思っていたから、私が自分と同じような状況なことを察したときは嬉しかった。と話してくれました。私もとても嬉しかったです。

 彼女は私と同じ学年でしたが、サークルに入ったのが早かったこともあり、既にサークルでの立ち位置をしっかりと固めていました。彼女の持ち前の眩しさなら当然です。同性の私から見てもそうなのですから、男性から見たら一層そうなのでしょう。実際、彼女から多少はサークル内外での色恋に関係した話を漏れ聞くことがありました。でも私がそういったことに疎いことを知ってか、あまり直接的な話をしてくれることはありませんでした。でも何があったからといって、私が彼女と交際することになるわけでもない、つまり色恋といった土俵に上がることはないわけですから、興味のないことではありました。そのときは。

 

 今からひと月ほど前のことです。

 サークルでは皆SNSで日常の様々な外出やら食事やらイベントなどのことを発信し合い、緩く把握し合うことで繋がっていましたので、私も一応アカウントを作成し、同じように日常のことをぽつぽつと綴ったりしていました。
 その日もいつものように最近いくつか追い始めていたアニメの実況されるタイムラインを眺めたりしつつ自分もアニメを観ていると、個人宛のメッセージが送られてきていることに気づきました。
 そんなことは初めてなことで、少し不安になりながらもそのメッセージに目を通すと、送り主はサークルOBの方で、内容は食事の誘いでした。
 その方はどうも大学の近辺に現在も住んでいるらしく、OBとなったあとにもサークルの飲み会や突発の食事会などにはわりと顔を出していました。顔が広く、社交的な方で、眩しい例の彼女を含めた少人数で食事や、ときには旅行に行くこともあり、私も何回か同伴したことがありました。でも私は彼女のおまけのような立ち位置を徹底していましたので、いつもそういった連絡は彼女からで、そこにそのOBの方がいつもいるな、くらいな認識でした。ですから今回こうして直接連絡が来たことに少し違和感を覚えましたが、まあ知らない人ではないということで、返信はしておかねばならぬと意を決しました。
 詳しい内容を訊ねると、眩しい彼女を含めた4人で飲み会を兼ねた食事会を催す予定があるが、少し値が張るので個別に声を掛けているところだ。とのことでした。私は彼女が行くなら行きますと答えました。

 

 結局、彼女も参加することになり、私と彼女、OBの方とその方と同じ代の別のOBの方の4人での食事会が催されることとなりました。先週の金曜日の夜のことでした。
 食事自体は海鮮料理で、想像していたよりかなり高いということもなく、コストパフォーマンスのよい素敵なお店でした。私は出身の関係で山菜系も海鮮も好きで、結構舌が肥えているのではないかと思っていましたが、そんな私でもかなり美味しい料理で、それに舌鼓を打つうちに、お酒もどんどん進んでいったのだと思います。
 眩しい彼女はとてもお酒が強く、またOBの方々も同じのようで、私は自分のいつものペースを超え、気づけば経験したことがないほどに酔ってしまいました。多少の量であれば飲んでも気分が悪くなることもなく、冷静でいられたものですから、単純に経験が浅い私が自分の限界を知らなかった。それだけのことでした。思い返すにとても情けない、恐ろしい経験でした。幼少期から叱られないように、他人に迷惑をかけないようにと生きてきた私でしたから、それはとてもショックな出来事でした。
 なので、そんなショックが見せた、そんなとてつもないショックに頭が混乱して、いやそもそも泥酔していたのですから、私は、あのときの私は――

 

 気がつくと、私は飲み会に誘ってきたのとは別のOBの方に付き添われ、大学近くの道をふたりで歩いていました。
 辺りを見ると、駅の近くのようでした。状況には驚きましたが、駅に向かっているものと判断し、それより何より、他人に迷惑をかけたことの罪悪感が一挙に湧き上がって、私は謝罪の言葉を何度も繰り返したのを覚えています。
 彼は大丈夫大丈夫と、そんなことを言っていたと思います。それから駅の近くということと、きっとそこまで遅い時間ではなかったのもあったのでしょう、周りにほかの通行人もあることを認め、私は安堵しました。その瞬間、飲酒経験の浅い私、異性と触れ合った経験に乏しい私、オタクとしても浅い私、人生経験に乏しい私、いろいろな私が去来し、ついに私は蹲って泣き始めてしまいました。今まで送ってきた、感情を抑圧するような人生の揺り戻しがきているような、そんな奔流に呑まれた私に涙を止める術はありませんでした。

 しばらく泣き続け、涙も涸れ、少し客観的に自分を見ることができるようになってきた頃でした。
 嗚呼こんな姿を晒してしまってこれからどうしたらよいのだろう。合わせる顔がない。そうだ、彼女はどうしたのだろうか。その瞬間まで、酔っていたことを言い訳にできないほどに綺麗さっぱり彼女のことが頭から抜けていたことに愕然とした私は、はっと顔を上げました。するとそこは先程まで居たはずのよく知った駅近くの道ではなく、どこか一本入ったような街灯の少ない道の、その真ん中に私はしゃがんでいました。
 状況の変化に混乱していた私でしたが、何かとても嫌な感じがして、でもどうしてもそうしなければいられない、そんな気持ちがして、私に付いてくださっていた男性の方に――ずっと隣に感じていた気配のする方に、ゆっくりと顔を向けました。

 

 そこには誰かが立っていました。
 その誰かが視界に入ると、私の視線は縫い止められたかのように動かせなくなってしまいました。視線だけではなく、首や、そもそも体が動かない。声も出せなくなっていることに気がつきました。
 誰か、と言うには理由があって、顔を判別することができなかったのです。
 私の視線はしゃがんだままの位置で平行移動し、彼の腰辺りを捉えたところでそのまま動かなくなってしまったのですから。
 声も出せない状況のまま、体感的にかなり長い時間が経ったように思えましたが、数秒の間だったかもしれません。そんな時間間隔までも麻痺してきたとき、不意に眼前の存在から声を掛けられました。

「ぼくの“女性さん”になって」

 その声は、確かに彼のものだったと思いますが、言っていることがわかりません。女性さん? 彼女にしてくれ? 告白? いろいろな思考だけが渦巻く中、返答を待たずに彼は両手を腰の前辺りに持って行き、徐にベルトを外し始めました。
 私は心の中で悲鳴を上げました。脳内の疑問符は一掃され、瞬く間に恐怖に塗り替えられました。しかし、逃げることはできません。顔を背けることはもちろん、視線を外すことすらできないのです。
 そうこうするうちに、彼は手を自身の腰の脇に回し、じわりじわりと下ろしていきます。ゆっくりとした衣擦れの音だけが頭の中に響きます。恐怖感と嫌悪感にめちゃくちゃになりながらも、私は意識を失ったりなどすることはありませんでした。それどころか、その光景を目前にしながら、なんとか呼吸をしようと必死になっていました。そもそも体は動かないのですが、口を開き、なんとか頑張れば、最低限の酸素が取り込めたのです。いっそ呼吸を諦めて酸欠で失神してしまえばよかったのかもしれませんが、そんな冷静な思考は望むべくもありませんでした。
 きっとあと数ミリメートル、下に下ろせば――といったところで、彼の手は一気に地面まで下ろされ、下半身が完全に露わになった、はずなのですが――

 彼の股間には、虚空が拡がっていました。

 どんなに目を凝らしても、そこには何もありません。代わりに女性器が付いているわけでもなく、マネキンのようにつるりと何もないというのでもありません。まるで視野が欠損したかのように、そこを何とも認識できないのです。
 そんな不思議な現象に、むしろ食い入るように、傍から見ることがあればとても正気の沙汰ではない状況でしょうが、私は彼の股間をしばらくの間凝視していた、と思います。しかしそれも長くは続きませんでした。
 ごそり、と、地面の方から何か音がしました。
 声を上げることもできずに驚いた私でしたが、何故か今度はわずかに顔と視線を下に向けることができました。しかし思わずそうした私は、直後にそれをひどく後悔しました。でもまるで“それ”に吸い付けられたかのように、またもや顔を背けることなどできなくなった私は、彼の脚に絡まる下着の、その間から顔を覗かせたモノと目が合ってしまいました。

「ぎゅてして」

 ひと咫に満たない程度でしょうか。“それ”はくねくねと蠢き地面に這い出すと、私と目を合わせてそう言いました。途端に総毛立ち、自分を失いそうになりながらも私はそのおぞましい存在が“歩行して”わずかな距離を詰めてくるのを待ち受けるしかありません。
 気の遠くなるほどの時間をたっぷりとかけて精神を凌辱され、衰弱しきった私の意識の糸は、ついにそれが目と鼻の先に迫り垂れ落ちた黒髪のひと房を愛おしそうに撫でたところで、ようやく切れてくれました。嗚呼しかし、記憶に残る最後の瞬間、体がゆっくりと前のめりに崩れ落ちる最中、酸素を求め開かれた口腔に“それ”が飛び込んできた気がしたのです――

 

 いかがでしたでしょうか。
 次に気づいたとき、私は自宅のベッドの上に部屋着を着て寝ていました。
 月曜日の朝。状況が呑み込めない私でしたが、直後に目覚まし時計がけたたましく鳴ったのでそれを機械的に止めると、いつものように顔を洗い、朝食を簡単に済ませ、身支度を整えて講義に出席すべく自宅をあとにしました。

 今日は金曜日。あれからスマートフォンが見つからず、パソコンでSNSにログインしようとするも何故かログインができず、サークルの部室にも足を運べていません。
 先週のあれは深酒で幻覚を見たのだと、そう思います。

 でもおかしいのです。あれからお酒は飲んでいません。

 お酒は飲んでいないのですが、何故でしょう――

 

 

 ――うちのインターホンが、鳴りやまないのです。