三葉木通
アケビの木の芽をお浸しにして食べると美味しいんですよ。
今頃から5月連休くらいの時期によく田舎で食べたものです。
大体ひと咫くらいのものを採っていくのですが、今調べると1把でも結構なお値段がするようですね。雑草のように生えていたのでもりもり食べていましたけれど。こわいねぇ。
さて、あんまりこういうことを書くのもポリシーに反するのですけれど、そんなアケビらしきものが、庭にいつの間にか生えてきていることに気付きました。
でもね、ともすれば食べようかというものであって、その由来も定かではない、植物に詳しいわけでもない素人の私が似ているなと思っているだけの草木なわけですから、ちょっと様子を見てみようと思っています。
そして、調べてみたのですが……ひと株しかないと結実しないらしいじゃないですか。実でも生れば明確かと思いましたのに。こりゃあ、ちょっと骨が折れちゃうなあと思いました。
少し話は変わりますが、その田舎からは随分前にアリジゴクを捕まえてきまして、庭に放っていたのが居着いているのです。結構な昔なので、繁殖しているのだなあと思うと感慨深いわけですが、彼らの先祖の故郷である彼の地はもう、祖父母の逝去をもって家も取り壊され、訪れる機会がほとんどなくなっています。
ですから、そういった繋がりのようなものを感傷的に捉えてしまうわけですね。
もう戻れない、喪われたものの記憶を伝える残滓。それは、それによって損なわれることのない、私をやわらかく包み込む存在です。
ああ、果たしてあれは本当にミツバアケビなのでしょうか。
もしそうだとすれば、それはいつかに捥いできた、とろりと甘いあの実を吐き捨てでもしたことがあったのでしょうか。
まあでも考えられる理由としては、それが生えているすぐそばに花蘇芳や枝垂八重桜やら庭木が植わっていて小鳥がよく止まるので、それが運んできた可能性が有力かな。
そんなね、作り話のようなことにはならないものですよ。
性強ランキングが流行る中でこんな逆張りみたいなことをふと思ったのでした。